top of page
  • 執筆者の写真青龍堂 小川

加山又造と用の美

更新日:2022年1月30日

加山又造(1927-2004)は、宗達や光琳の様式を基に、自然の本質を捉え普遍的なイメージとして純化した装飾性の高い作品を生み出し「現代の琳派」と評された日本を代表する画家です。加山又造のことを知っていくと、本業の日本画のみならず、その創作範囲が非常に広いことに驚きます。


独学で銅版画などの版画も一から制作し、陶器類の絵付け、着物や緞帳のデザイン、雑誌や本の表紙や挿絵、ジュエリーのデザイン、さらには航空機ボーイング747LRの内装やBMWの車体のデザインなど、多岐に渡ります。

それぞれのジャンルの創作で個性を発揮し魅力的な作品を作り上げました。


「日本画も他の仕事も本質的には自分にとってすこしも違うところはなく、すべて同じような態度で制作している」と語っていたそうです。

陶芸家である長男哲也氏と(1987年:撮影 齋藤康一氏)


こういった工芸の分野でも、一番長く積極的に取り組んだのが陶芸です。

1968年に陶芸家であり(加山又造の親戚でもある)番浦史郎の元を訪ね、初めて焼き物への絵付けをしました。その後は近くに自身の工房まで建てて熱心に取り組み、陶芸は加山又造にとって創作の大きな一分野になりました。

番浦史郎が成形したものに加山又造が絵付けをする合作で、多くの伸びやかで素晴らしい大鉢や俎皿などが作られました。


「絵付けは成形の素地に呉須、鉄釉で描き、さらに金銀の上絵付も施す。興の赴くまま絵を描いているのが実に楽しい。」(「用の美の世界」第五巻)


「計画的に下絵をこしらえると何故かいい結果が得られない。固くなってつまらないものになる。結局、素材と遭遇した時の即興に随い、自分の内に堆積しているものを、素材の中に静かに吐き出していくのがいいように思う」(「私の絵画観」)

と語り、絵付けの際には下絵は一切施さず、素地の前に長時間座って考えたあと一気に描きあげたそうです。

だからこそ、豊かなリズムを伴った魅力的で生命力のある作品が誕生したのでしょう。


加山又造「鉄赤絵萩文俎皿」26.5×50.8㎝ 1978年 共箱


★価格等詳細につきましてはこちらをご覧下さい。  


こちらの作品も萩が風にたなびいているような自然なリズムがあり、とても心地よい作品です。横幅が50㎝もありどっしりとした風格があります。よくみると葉の葉脈まで感じられます。


この俎皿にお寿司を乗せたら…引き立てあって素敵でしょうね。



本作品は「加山又造全集 第五巻 用の美の世界」(学習研究社)に掲載されています。


(文/青龍堂 小川)


#加山又造

#琳派

#陶芸

#俎皿





閲覧数:201回2件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page