今回は作品の細部や落款(作家の自署サイン)についてみていきたいと思います。 作品は川合玉堂「溪橋帰駄」です。

1日の仕事を終えて馬と共に橋を渡って家路に向かうという、哀愁を帯びたワンシーンです。 アップにするとその様子がよくわかりますね。

その場面とは対照的に、岩肌が力強い線で描かれた自然の壮大さが表現されています。水墨の濃淡でまた奥行きも巧みに表現されています。

このさまざまな表現がこの作品に深みを与えているのだと思います。 細部を観察してまた改めて作品を鑑賞すると、より理解が深まり楽しめると思います。
次に落款を見ていきましょう。

皆さまのサインも変わったりしますよね。自分の中の流行りがあったり この玉堂先生も色々と変遷があるんです。
明治30年24歳の時
カチッとした書き方ですね。

大正9年47歳
この頃は堂の字が上から下まで貫いているので抜堂(ぬけどう)と呼ばれます。

昭和18年70歳
この作品が同じ溪橋帰駄というタイトルで落款もほぼ酷似しているので今回の作品の年代もこの頃と推測できます。

昭和21年73歳の頃
堂の字の中にはっきりと口と書かれているので口堂(くちどう)と呼ばれる円熟期です。

昭和31年83歳
最晩年は玉の字が下に跳ねるんです。

面白いですね。
落款と印だけの本も出版されているので年代特定には欠かせません。(玉堂落款印譜集)

このように細部を見たりサインを見ておくと、より作品や作家への理解が深まりさらに楽しいものになると思います。
ご要望にお応えしてこの作品のオンラインViewing(ビューイング)の様子も近々お伝えする予定です。
(文/青龍堂 店主)
★今後とも皆様に喜んでいただける記事を載せていきたいと思います。
ご感想ご意見、ございましたら是非コメント欄にお願いいたします。
(コメント入力にはログインが必要です。大変お手数ですが、1番下までスクロールしていただきメールアドレスを入力してログインして下さい。)
★青龍堂の商品にご興味のある方はこちらの商品詳細をご覧下さい。
サイトでご紹介している以外にも優れた作品をご紹介させていただいております。
お気軽にお問い合わせください。
Facebookコメントより
「素晴らしいです、有難う御座います。」
「川合玉堂は、好きな画家の一人です。確か奥多摩に記念館がありますよね?」
青龍堂より
「はい奥多摩に玉堂美術館はございます。
http://www.gyokudo.jp/
弊社の近くの山種美術館も玉堂先生と縁が深く所蔵作品も多いので年に一度は玉堂展開催していますね。」