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絵のある生活 2.小林秀雄の空間

更新日:2020年7月20日

最近zoomなどを使ってオンラインでコミュニケーションをとることが増えて気がついたことがあります。

特に海外の方に多いのですが、後ろの壁にさりげなく素敵な絵や写真がかかっているのです。楽器やお茶碗、お花を飾っている方もいらっしゃいました。買い求めた先の旅の思い出や趣味のお話がはずみます。


自分の過ごす空間を心地よく整えることが、以前よりも大切になっている気がします。


今回は文芸評論家の小林秀雄(1902-1983)の空間をご紹介したいと思います。小林秀雄は

青山二郎の親友であり、彼から審美眼を学びました。時に手ひどく叱られたとも書いてあります。

応接間 旧蔵の信楽水指と梅原龍三郎のパステル画


応接間 著者旧蔵の李朝白磁大壺、信楽鬼桶水指、絵志野香炉(バーナードリーチ作)、富岡鉄斎画軸。


玄関内部 弥生古壺に白山吹をいけ、額は奥村土牛筆「桜」(著書「本居宣長」見返し原画)


(写真/小林秀雄 「真贋」)



美術品を飾るのに必要なのは、特別なインテリアセンスではなく、自分の好きなもの、自分が美しいと思うことを知ることなのではないでしょうか。この写真を見てそんなことを感じました。彼がお気に入りのものに囲まれて、この空間を楽しんでいたのが伝わってきます。


最後に「真贋」の文章を抜粋します。


美を求める心とは、物の美しい姿を求める心です。
この能力は、養い育てようとしなければ衰弱してしまうことを、知っている人は少ないのです。今日の様に、知識や学問が普及し、尊重されるそうになると、人々は、物を感ずる能力の方を、知らず識らずのうちに、疎かにするようになるのです。
知識がどんなにあっても、優しい感情を持つとは、物事を感ずる心を持っている人ではありませんか。神経質で、物事にすぐ感じても、いらいらしている人がある。そんな人は、優しい心を持っていない場合が多いものです。そんな人は、美しい物の姿を正しく感ずる心を持った人ではない。
立派な芸術というものは、正しく、豊かに感ずる事を、人々に何時も教えているものなのです。


絵のある生活1はこちらからお読みください。


(文/The Blue Box)







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