
厚塗りの油彩で書かれてますが、
よく見ると左に騎士、右上に風車、右下にはロバに乗った従者皆さん、
ご存知のセルバンテスのドンキホーテの有名な場面です。
従いまして騎士は愛馬ロシナンテに跨がるドンキホーテです。
ライフワークとして朝井閑右衛門が何度も描き続けたこの主題ですが、1点づついつも違います。
「社会批判というより、飽くことのない欲求にさいなまれているところが、僕には面白い点があったんだね」
と語っています。
この朝井閑右衛門はなかなかの奇人変人で、友人たちを招いて宴会をする時もあれば、
「カエッテクレ」と看板を出してアトリエにこもって制作に没頭する時もあったそうです。

その集中力から生まれた作品は明るく楽しげなんですが、どこか儚く滑稽で愛着が湧いてくるのです。
(文/青龍堂店主)
朝井閑右衛門
「ドンキホーテ」油彩・板22.5×15.6cm 1969年
画集掲載
東美鑑定評価機構
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