棟方志功(むなかた しこう 1903-1975)は日本の板画家であり、国際的巨匠の一人です。国際版画大賞、文化勲章を受賞しています。ゴッホと共鳴した彼の作品は木版の声を聞くようにその特徴を活かし、絵画の構成や配色はダイナミックで独創性に溢れています。強度の近視のため、眼鏡を板につくほどに顔を近づけて、取り憑かれた様に板画を彫っていたという姿が目に浮かんでくるようです。「釈迦十大弟子」など仏教を題材にした作品が有名で、菩薩や如来のおおらかな表情の中に彼の女性崇拝も見て取れます。
棟方志功は書に「乾坤(けんこん)」をよく用いています。意味は天と地、つまりこの世界、宇宙のことでしょう。
禅語に「日出乾坤輝(ひいでてけんこんかがやく)」というものがあります。日の出が闇を一掃し、無限の光を浴びて新しい世界が出現するという意味です。
この「乾坤一掃」にも、心の中にどんな闇や迷いがあろうとも、それを一掃してくれる夜明けはくる。心の太陽があがるという意味があるように思います。「一掃」字の後にさらに文字が続いているような勢いある筆遣い。誰しも暗闇の中で出口が見えないような時があります。棟方志功のこの書の力強さに励まされます。
商品情報
作家名:棟方志功
作品名:《乾坤一掃》書
サイズ: 102.5×32㎝
132 x 45㎝(額サイズ)
棟方志功鑑定委員会鑑定書あり
(文/The Blue Box)
#日出乾坤輝
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