遠くギリシャからのシルクロードの中継点ガンダーラ地方から中国、朝鮮半島を経て日本に伝わった仏教美術。
その源流ガンダーラ美術に心惹かれる方は多いと思います。
我々はどこから来たのか、そんな問いに心の中の何かが呼応します。世界は、時は繋がっているというゆったりとした視点に身を任すと心地よい安心感に包まれます。
さて、1974年にオークションハウスのクリスティーズに出されたこの作品。箱書きには「ガンダーラ 片岩浮彫 馬に乗るシュドダナ王」とあります。
お顔の彫りの深さははっきりわかりませんが、このドレープはガンダーラの特徴です。馬具を見る限り高貴な方のようです。
調べてみると、この方はお釈迦様の父、シュドダナ(Suddhodana)王だとわかります。お釈迦様は今から約2500年前の4月8日(旧暦)に現在のネパール地方のカピルラ王国で産まれたとされています。
お釈迦様の出家には反対していたようですが、出家後は警護を送ります。悟りを開いた後にお釈迦様がお城を訪れた際には食事も用意し、最終的に説法にも耳を傾けています。臨終の際にもお釈迦様は見舞いました。
普通の父と子の関係と比べてはいけないのでしょうが、自分と違う道を行った息子への父親の愛情の深さにも感じ入りながらこの作品を観ています。私が出会うガンダーラ美術の人物は、勇敢で愛情深い人物が多いです。
(文/The Blue Box)
作品情報 作品名:ガンダーラ 片岩浮彫 馬に乗るシュドダナ王(お釈迦様の父) サイズ: W14.5×D6×H16.5 W16.5×D7.8×H3(台) 1974年5月21日のクリスティーズのセールに出品歴あり
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