この度、銀座室礼No.23が完成いたしました。
今回は表紙に速水御舟《茄子》
代表作《京の舞妓》と同時期に描かれました。
モチーフの質感描写をとことん追求した結果、油彩画のような驚くほど写実的な静物画連作が誕生した時期です。
茄子の特徴的な深い色合い、緻密に描かれた実やヘタの質感の表現が素晴らしいので、実際にご覧いただきたい作品です。
小林古径の代表作《清姫》(第17回日本美術院展に出品・全8作)は長い間古径が手元に置いて大切にしていましたが、現在は山種美術館に所蔵されています。
本作はその《清姫》(日高川)の最終下絵と考えられるもので、構図や主人公のポーズは本画とほぼ同じです。
清姫が逃げる安珍を追い、日高川に飛び込み大蛇に変身する直前を描いた印象的なシーンです。
高古遊絲描という技法で描かれた絹糸のような髪の表現が秀逸です。清雅な色で丁寧に彩色された着物や、無駄のない緊張感のある構図によって画面に凛とした品格が感じられます。
他にも、梅原龍三郎旧蔵の硯屏などと共に、想像の中で梅原龍三郎にインタビューを試みるという「空想対談」も掲載しております。
ぜひご高覧くださいませ。
※《茄子》《清姫習作》の詳細はショップに掲載しております。
(文/青龍堂 小川)
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