小林古径の代表作で第17回院展出品作の「清姫」。
元は絵巻物で長い間、古径の手元にあったそうですが、今は8枚に額装され、山種美術館に収蔵されています。
熊野参詣途上の若僧安珍に恋をした清姫が、大蛇となって後を追い、梵鐘の中にかくまわれていた安珍を焼き殺してしまうという伝説を絵画化した作品です。
(小林古径「清姫」山種美術館 全8面)
今回ご紹介するのは、その「清姫」の中の日高川という場面です。清姫が日高川に飛び込んで大蛇となって渡河する寸前の場面で、連作の中でも1番印象的な習作です。
習作と言っても、描き方もサイズも本画と遜色なく、まさに古径の制作意図が感じられるようなとても貴重な名品です。
これだけ有名な作品の類似作が世に出てくる事は大変珍しくとても興奮してしまいます。
まさに大名品ですね。
単純化された緊張感のある構図と線、そして清雅な色彩が小林古径の画業の頂を感じさせる1枚です。
この作品は1994年の生誕110年の展覧会に出品されています。
(文/青龍堂店主)
商品情報
作家名:小林古径
作品名:清姫習作
サイズ:48.5cm x85.0cm
紙本、彩色
東京芸術倶楽部委員会鑑定あり
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