小林古径が尾形光琳の香包を模写した「朝顔」。
とてもいい作品なのですが、光琳の香包とくらべると、何か違和感があったのです。
下地が金箔と紙の違いはありますが、細部はたらし込みや岩絵具の美しさが素晴らしいです。ただ、長年の経験からくる違和感を拭えません。
そこで色々考えてみました。
額装されたことによって、絵が四角い枠の中に閉じ込められているのではないか。伸び伸びとした感じが失われています。私には、囚われの姫、のように見えてきました。
そこで、早速表具屋(ひょうぐや)さんにその旨をお伝えして、お軸に変えてみることにしました。
翌週訪ねたところ、生地をあてて見せてくれました。
とっても良いですね。
色のトーンもよく、葉の墨の色や朝顔の群青が引き立ちます。この品の良さが、作品とよく合っています。
まるで着物と帯ををあてて合わせる時のような楽しい時間。こんな風に見せてもらうと、本当に分かりやすくてありがたいです。
仕上がりが待ち遠しいですね。
この作品についての以前のblogはこちらです。どうぞ合わせてお読みください。
小林古径の朝顔
小林古径の朝顔その2 香包実験編
(文/青龍堂店主)
作品情報
小林古径 朝顔
41.8㎝×31.7㎝
紙・彩色
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