今回、都一中シンポジオンにて聴かせていただいたのは「辰巳の四季」夏の景です。
辰巳とは東南の方角を現し、京都の宇治の里の風景を語った曲。
浄土真宗の僧侶であった初代都一中が一中節を始めた最初の曲で、一中節の主要な要素がすべて含まれていると伺いました。戦乱が絶えて久しい元禄の時代はある意味でこの世の「極楽」そのものであったようです。
「夏の景」の内容です
夏、網代の守が鮎とりをしています。網であげられた鮎がきらきらと輝いています。相合煙管で楽しそうな男女がいます。女性が煙管に火をつけ男性に差し出し、その煙が輪になりふわふわと浮かび上がっていきます。涼しい風が心地よく、あおいでいた扇も用がなくなりました。夏になれば宇治川で美しい娘たちが布さらしをしている姿が微笑ましく、拍子をとりながら皆で小唄を唄っています。
…これがこのまま極楽浄土なのではないか。極楽浄土とは十億万仏土先の西方ではなく、今ここにあるのではないか。自分がそのように思いさえすれば、(親鸞上人が教えてくださった絶対他力を知りさえすれば)もう極楽浄土というのはここにある… この平和な世の中が永遠に続いてほしい 争いがなく人々が安心して暮らせる日々が永遠に続いてほしい 泰平の世が久しくあることをただただ祈るばかりです。
この思いを音楽で表現したのが一中節で、その中で最も重要な曲が「辰巳の四季」という事を教えていただきました。
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上質な音楽は、その瞬間の歓びだけではなく、聴く人の未来を、奏でる人の未来を、自然に、幸せに満ちあふれたものにします。音楽芸術には、一人一人の脳の中の無意識の部分に働きかけ、自らの将来に対して幸せになれるような行動を自然と選ぶように導くパワーがあるのです。「武運長久民繁盛、四海波風静かにて、治まる国こそ久しけれ」 (戦いが全くなく、皆が幸せに繁栄している、そんな状態が永久に続くよう・・・) 一中節の原点でこの一曲に一中節の全てが含まれていると伝えられている「辰巳の四季」の最後の歌詞です。この曲に親しめば自然に心がなごみ、人の幸せを願うゆとりが生まれてくる ― これは理性ではなく、感性の作用なのです。私はそんな上質な音楽を共に味わう輪を広げて行くことで、より多くの人々の心を幸せで満たし、夢と希望にあふれた理想的な未来を一緒に作ることができると信じています。皆様が私の音楽を楽しんでくださることが、争いのない明るい未来をもたらしてくれるのです。・・(都一中音楽文化研究所H Pより)
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幸せとは、極楽浄土とは、どこか遠くにあるのではない、自分がそう感じさえすれば、今ここにある。そして“上質な音楽を共に味わう輪を広げて行くことで、より多くの人々の心を幸せで満たし、夢と希望にあふれた理想的な未来を一緒に作ることができる”…そのような素晴らしい思いを込めて作られ、演奏されている音楽なのだと改めて感動しました。
さて、今回飾らせていただいた作品は「柳に鷺」(菱田春草)と「白牡丹」(奥村土牛)です。
繊細な墨の濃淡、しなやかな筆づかいで、風に揺れる柳を軽やかに表現しています。空間の構成力に優れた春草らしく、白鷺と黒い枝のコントラスト、絶妙な構図が際立つ作品です。右下の作品はお皿に直接牡丹が描かれている非常に珍しいもので、柔らかな金地に清楚な胡粉の白の組み合わせが美しい土牛晩年の作品です。
都一中シンポジオン11シーズン 次回のお知らせです。
第二回 8/31 (木)常磐津「夕涼三人生酔」(ゆうすずみさんにんなまよい)
18時~受付 18時半開始 21時頃終了予定
【会場】新宿京懐石 柿傳 6階古今サロン
【会費】各回10,000円(税込)※点心付き(飲物別途)
皆様のご参加をお待ちしております。
〔お申し込み〕
新宿 京懐石「柿傳」Tel: 03-3352-5121 Fax: 03-3350-5111 メール: mail@kakiden.com
お席、お食事の関係で直接のお申し込みをお願いしておりますが、一言「青龍堂」のご紹介と言っていただけますとご挨拶できますので嬉しいです。
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