画讃は
葉公怖真龍(しょうこう しんのりゅうをおじる)
誰然真河童(しかるに だれがしんのかっぱを(怖じるか)
となっています。
「葉公は楚の国の人である。彼は龍がとても好きだった。
彼の家には壁にも、梁にも、布団にまでも龍が描かれていた。
天の龍はこれを知って大変感動し、地上に降りてきて葉公の家を訪れた。
龍が窓から葉公の部屋に首を入れて覗き込んだところ、座っていた葉公は恐怖のあまり全身をガタガタと震わせ、声も出ない様子だった。
葉公が好きだったのは本物の龍などではなく、描いたり、彫刻したり、刺繍したりした偽物の龍だったのだ。」
面白いですね。
この故事成語にはふたつの意味があります。
ひとつは、道理が分からずに形だけ愛好すること。
もうひとつは、口先では好きだと言いながら、実は恐れていたり嫌っていたり反対していたりすることです。
という事は芋銭は
河童を描きながら道理を追求していたので私は葉公のように形だけでもなく怖れてもいないと言っているのではないでしょうか?
芋銭が向き合ったこの河童にますます引き込まれていきます。
(文/青龍堂店主)
小川芋銭
「河童」
26.9㌢× 23.6㌢
紙本・墨
東美鑑定評価機構
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