絵画との対話の体験のお話をしたいと思います。アメリカ、ヒューストンにひっそりとたたずむロスコチャペル。晩年のマーク・ロスコの絵が飾られているそのチャペルは宗教に関係のない祈りと瞑想の場所として知られています。
(ロスコチャペルHP より)
絵と向かい合っていると、絵を見ていることを忘れる瞬間がやってきました。初めて、絵との対話ができたような気がしました。精神性の高い絵と波動が合うと、自分の心の奥深くに共鳴します。一つの絵からは、般若のような顔が見えては消え、もう一つはライオンのような顔。私の心の中の認めたくない部分が見えたような気がしました。そしてさらに、もう一つの絵を見たとき、賢者の声が聞こえたような気がして涙が出てきました。救われたような、使命が分かったような、清々しい気持ちでチャペルを出ました。
マーク・ロスコ( 1903- 1970)はアメリカの抽象表現主義の画家です。現代美術は理解するのが難しいと感じることもありますが、理解するのではなく自分の心で感じるのが、絵との対話の一歩なのかもしれません。
ロスコはニューヨークのシーグラム・ビルディングにあるフォーシーズンズ・レストランの壁画を依頼され、約40枚の連作(シーグラム壁画)を制作しました。しかし、店を訪れたロスコがその雰囲気に幻滅し、契約を破棄してしまいます。その後、1970年にロンドンのテイト・ギャラリー(現テイト・モダン)にうち9点が寄贈され、1990年には7点がDIC川村記念美術館に収蔵されました。DIC川村記念美術館のロスコ・ルームで、絵との対話と瞑想の時間をもたれてはいかがでしょうか。
(2021年1月12日(火)から7月2日(金)まで、休館中です。)
(文/The Blue Box)
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