明治25年、富岡鉄斎のが57歳の時の作品です。
大和絵(日本の故事・人物・事物・風景を主題とした絵画)の作風で
画題は「保昌赴丹図」です。
(藤原保昌を描いたこの作品の内容は、また次回以降に触れていきたいと思います。)
手前に藤原保昌(ふじわら の やすまさ)一行。その左側には、妻の和泉式部がいます。
左の1番上の隅には和歌が書かれていて最後は天橋立で終わっています。
そうするとこの風景は、天橋立(あまのはしだて)図ということになります。
少し上から俯瞰してとてもいい景色が広がっています。
日本三景の1つですからね。(因みにあとの2つは松島と宮島です。)
このような風景をどこかで見たことある気がしていたら、雪舟の天橋立図でした。
鉄斎は、雪舟の天橋立を描きたかったのでしょう。
奥行きのあるこの世界観にしばらく見入ってしまいます。
次回はこの作品の内容についてもう少し深掘りしていきたいと思います。
(文/青龍堂店主)
富岡鉄斎 「保昌赴丹図」
絹本彩色 共箱
133㎝×56.5㎝
明治25年
大阪美術倶楽部鑑定あり
Comments