1920年(大正9年)、この頃から数年間は速水御舟は徹底した写実に向かいます。
個人的には私の1番好きな時代です。
有名なのは「京の舞妓」(国立博物館蔵)で人物よりもむしろ着物や壺や畳の目、1つ1つの細部にわたって洋画的な質感で描いています。

「京の舞妓」(国立博物館蔵)
ただこの頃は、むしろ小品に名品が多いのです。
今回ご紹介する「茄子」もその素晴らしさは白眉ではないかと思います。


写真を超えたその存在感は見る者を圧倒して、しばし釘付けにさせられます。
茄子になんとも言えないオーラすら感じてしまうのは私だけでしょうか?
この頃は岸田劉生と交流があり、存在感ある写実に皆が向かっていた時代でした。
この素晴らしさを実際にご覧頂けたら幸いです。
(文/青龍堂店主)
商品情報 作家名:速水御舟 作品名:茄子 サイズ:22.2cm x28.5cm 制作年:1920年 共箱 紙本、彩色
Price 掲載文献 「速水御舟大成[一]」No.142 P154 (小学館) 「速水御舟」No.105 P50 (便利堂)
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