横山大観と言えば朦朧体(もうろうたい)という言葉を耳にします。
朦朧体とは輪郭線を用いずに大気や水を表現する技法です。
まさにこの海の表現です。
それまでは輪郭線の力強さや優美さが日本画の命のようなものでしたが、大観はあえてその輪郭線を用いずに表現しようと挑戦しました。
この作品を描いた明治の頃がまさに朦朧体で、「無我」などの代表作も誕生します。
大観と言えば一般には富士のイメージですが、実はこの明治の頃にこそ、彼の芸術の真髄のような崇高な素晴らしさがあると思います。
(文/青龍堂店主)
横山大観
「波上郡鶴」
41.7㌢× 57㌢ 2対
額寸法 107㌢×81㌢
登録あり
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