小林古径の「道成寺」
下田にある上原美術館では谷崎潤一郎の著書にちなんで光と影をテーマに「陰翳礼讃」(9月26日まで)という展覧会を開催しています。
小林古径の「道成寺」も見ることができます。
紀州の若い僧安珍と清姫の伝説をご存知の方も多いと思います。能ではその後日談が演じられます。
ある白拍子が紀州道成寺の鐘供養の場に訪れます。女人禁制の供養の場であったのにかかわらず、白拍子は特別に舞を舞い歌を歌います。(ちょうどその場面です)
白拍子は隙をみて梵鐘の中に飛び込みます。すると鐘は音を立てて落ちます。祈祷によって持ち上がった鐘の中から現れたのは白拍子が蛇体に変化した姿でした。蛇は過去に男に捨てられた怒りに火を吹き暴れますが、僧侶の必死の祈りに堪えず川に飛び込んで消えます。
このお話の白拍子がじっと見つめているのは入相桜(いりあいざくら)。
安珍と清姫、生前は叶わぬ恋に終わりましたが、一本の入相い桜となって生まれ変わり、一つになったと言い伝えられています。
やはりいい作品ですね。
実はこの作品は弊社で納めさせて頂いたものなのです。こうやって展示されるとまた会いに行けるので嬉しいです。
お近くに行かれる方は是非お立ち寄りください。安珍清姫伝説に想いを馳せてみてはいかがでしょう。
(文/青龍堂店主)
上原美術館
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