梅原龍三郎は数多くの絵画作品を描いておりますが、書の作品も数多く残しております。
本作もその一つです。
「寳系」という文字を調べたのですが、あまり意味が出てきませんでした。
現代中国語では系の文字は、“ベルトを締める”や“繋ぐ”などの意味もあります。「寳(たから)を受け継ぐ」「寳(たから)につらなる」のような意味なのかもしれません。
また、本作の字体からも考察してみました。
梅原龍三郎は数多くの貴重な美術品を持っておりました。この「釈迦寳殿」も梅原旧蔵の作品となります。
これは中国の南宋時代にいた、無凖師範と呼ばれる臨済宗の僧の書になります。
日本人の弟子である円爾(えんに)へ贈った墨跡です。日中の禅僧の交流が分かる大変貴重な作品であり、重要文化財に指定されているものです。
梅原龍三郎はこの作品を持っておりましたので、その影響でしょうか、少し字体が似ている気がします。
画家も様々な芸術作品に触れる事で、新たな作品が生まれたり、画風が変化したりすると思える一品です。
(文/青龍堂 大木)
梅原龍三郎
「書『寳系』」
60.6×33.5cm
金泥 紙(赤地)
東美鑑定評価機構鑑定書あり
Comments