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安井曽太郎の最晩年

安井曽太郎(やすい そうたろう、1888年5月17日 - 1955年12月14日)は1949年に湯河原の天野屋別館を借りて移り住みました。60歳過ぎの時です。


廊下づたいに120段の階段を登ると、以前竹内栖鳳が使っていた画室がありました。

そこで、気持ちを乱されず制作に没頭していきます。


その後、安井曽太郎は1954年に湯河原町宮上586番地に自宅とアトリエを新築します。

そこはちょうど天野屋別館の向かいの山頂です。

山頂のこの見晴らしのよく素晴らしい景色でなお一層、制作が順調に進みます。


今回ご紹介するのは、1955年にこの自宅の庭でパステルで描かれた

「海の見える庭にて」です。


安井らしい色彩で、山頂からの海までの眺めをとても印象的にしっかりと描いています。

パステル作品でこのぐらいしっかりとした色づかいの作品は初めて見ました。まるで油彩のようです。


当時はこのような素晴らしい作品が普通に流通していたのとは驚きです。その後、この絵の前の所有者は40年近くこの作品を大切に所蔵されていました。


安井曽太郎は同年12月に肺炎により67歳の生涯を閉じます。


最晩年のこの年は、まるで集大成のように再び風景画に力を注いでいます。その中で生まれたこの作品はとても力強く、見るものの心を掴みます。


この絵を見ていると窓を開けたらその向こうに、湯河原の景色が広がっているかのようです。






(文/青龍堂店主)


安井曽太郎 

「海の見える庭にて」

紙・パステル

35.7㎝×25.4㎝

共シール

東京美術倶楽部鑑定


#安井曽太郎 #天野屋別館















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