今回の演奏会のお話の中で「平家物語」は琵琶法師が弾き語り伝える、滅亡した悲しきものたちへの“鎮魂”であり、それが“芸能の原点”とお聞きしました。
今回の「松風」も同様で、亡くなった霊が主人公です。
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あらすじ
平安時代の歌人の在原行平は、献歌で光孝天皇の怒りに触れてしまい、須磨に流されました。ある日、行平は汐汲みに来た女性を見つけます。
その姉妹に住むところを聞くと、
「白波の 寄する渚に 世を過ごす あまの身なれば 宿も定めず」
と詠みました。そのときに松風が吹き、村雨が降ったため、姉の藻汐を松風、妹の小藤を村雨と名付け、愛しました。ですがその三年後、行平は都へ帰ることが決まります。
行平は姉妹に直接そのことを告げると悲しむだろう、と思い、自分の烏帽子と狩衣を松の枝にかけ、
「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」
と詠み、二人のもとを去るのでした。
残された二人は悲しみのあまり、互いに命を絶ちますが成仏できず、その亡霊は行平の烏帽子と狩衣をまとい、汐汲み女の姿となり、さ迷い続けるのです。
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「熊野(ゆや)松風は(に)米の飯」(三度のご飯と同じくらい飽きのこないことのたとえ)と言われるほどで、春の季節曲である「熊野」と並び、秋の曲として非常に高い人気があるそうです。
今回は、山口薫「甲斐虎の子クマ」を床の間に飾らせていただきました。山口薫は群馬県出身の洋画家です。日本における抽象系の前衛グループを牽引し、ヴェネツィア・ビエンナーレなど海外展の出品や芸術選奨文部大臣賞など多くの賞を受賞し画壇の寵児となった山口薫は、晩年、甲斐虎という犬種の子犬をもらい「クマ」という名前をつけて飼っていました。生きるのが不器用な画家の悲しみを慰めるようにそばにいたクマ。山口薫のシンボル的なモチーフとして数多く描かれました。本作もその一点で、まだ子犬だったクマをリズミカルな筆致で描いた1962年の作品です。山口薫は1968年に60歳で死去。クマは画家のあとを追うようにその年の年末に亡くなりました。
都一中シンポジオン11シーズン
最終回 12/19 一中節「三番叟(さんばそう)」
18時~受付 18時半開始 21時頃終了予定
【会場】新宿京懐石 柿傳 6階古今サロン
【会費】各回10,000円(税込)※点心付き(飲物別途)
12月は満席になりました。
来年も皆様のご参加をお待ちしております。
〔お申し込み〕
https://itchu.jp/news20/
新宿 京懐石「柿傳」Tel: 03-3352-5121 Fax: 03-3350-5111 メール: mail@kakiden.com
お席、お食事の関係で直接のお申し込みをお願いしておりますが、一言「青龍堂」のご紹介と言っていただけますとご挨拶できますので嬉しいです。
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