洋画家、中川一政(なかがわ かずまさ)の書。
彼は漢詩や万葉集など色々な書を残していますが、今回のこの作品は秀逸です。
自由自在、融通無碍(ゆうずうむげ)の中川一政が
「藝」という一文字。
昭和55年86歳の元日に書かれました。
書き初めですね。
画家の書は絵画の時よりも作家の人間性が垣間見れて面白いです。
藝と書くと、芸術という意味だけでなく藝の道というニュアンスを感じます。
演者であったり作者であったり、作り出す側の人々の「芸とは何ぞや」の問答のようです。
創り出す側の想いや、心持ち、目指す道。この一文字で沢山の事が想像できます。
力強く存在感があり、かといって気を衒ったとこが一切なく、ただただ「藝」というものの本質に迫るそんな書だと感じました。
「書は読むのではなく感じるものだ」と言われますが、あなたは何を感じましたか?
(文/青龍堂店主)
作品情報
中川一政 「藝」
紙・水墨
69.3㎝×70.3㎝
共シール「年元旦」
東京美術倶楽部鑑定
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